あなたは正しく理解できていますか?データ解析を行う手順2/3

参考資料:
データ解析の実務プロセス入門

著者:あんちべ

出版社: 森北出版

前回の記事でデータ解析フローの1つ目、目的設定について紹介しました。

この記事では、2つ目のフロー2.分析計画を学び、実践データ解析をするためにとるべき行動を見ていきましょう。

2.分析計画

先ほどまでの理想的想定から離れ、 現実の立ち戻って実現可能性を考える段階です。
段階です。
目的に対し費用対効果や技術的実現性について検討します。
もしここで、データ解析をしても費用対効果に合わない、あるいは技術的に不可能であるならば、解析を取り止める、またはステップ1に戻って目的をよりささやかなものに変える必要があります。
ここでいう費用とは、金銭だけを指すのではなく、どれだけの期間を要するか、どれだけの人手が必要か(また、人材確保できるのか)、どれだけの機材が必要とするのかを含みます。
技術的実現については、単純に技術的に可能かだけでなく、実際に入手できるリソースでその技術要件を満たせるかも考える必要があります。

担当者の明確化

分析計画の中でも、特に重要なのは各担当者の明確化です。
少なくともデータ解析の責任者、解析結果を最終的に受け取り意思決定する意思決定者、未決事項の管理・決定者、解析内容の相談窓口、データ解析者の5つは最低限必要です。
これらのなかでも、とくに意思決定者を明確化することが大切です。
意思決定者が誰なのかも分からずにデータ解析に臨むのは効果的ではありません。
なぜならば、意思決定者の立場には分野によって取れる施策は異なるため、有意義な解析結果が出たのにそれを活かせず終わるという事態を招きかねないからです。
次に重要なことは、未決事項の管理・決定者と決定フローを決めることです。
データ解析のプロセスは反復して改善していくものです。
この2.分析計画のステップも、最初から全てを抜け漏れなく決定することは不可能なので、その時点で決められることを決め、決められないことは未決事項として整理します。
未決事項は、決められる段階になってから改めて決定します。
ただし、未決事項だからといって完全放置して良いわけではありません。
未決事項を、「どの段階で」「誰が」「どのように」 決定するのかについて、その時点で可能な限り決めておく必要があります。
それが未定だと、この作業が進行中であるにもかかわらず、その意思決定のために全ての作業がの流れが止まってしまう危険性があります。
他は何も動いてない最初の時期に「未決事項の決定者」「その決定者の裁量範囲」 を明確化しておくと、そのような危険性を減らすことができます。

担当項目担当プロセス担当内容
責任者全プロセスデータ解析を継続するか中止するか、何をもってデータ解析を失敗とするか、データ解析の失敗、または施策を実施したものの想定した勝ちを得られなかった際どう対処するかを決定する
意思決定者

1.目的設定
2.計画
3.施策提案

目的と分析計画の可否を決定する、提案された施策を実施するかどうかを決定する
未決事項の管理・決定者

1.目的設定
2.計画
3.実施と検証

未決事項を管理・決定する
相談窓口全プロセス、随時適宣データ解析者の相談先の窓口
データ解析者全プロセスデータ解析を行う

また、データ解析には一定のドメイン知識が必要で、 データ解析者はそのドメイン知識やデータ解析に関する要望について度々依頼者側に問い合わせる必要があります。
その際に、問い合わせ先となる窓口がいないとコミュニケーションが滞ります。
これが各担当者の役割のすべてを1人に割り当てることもあり、必ずしも別の人にしなければならないわけではありません。
ただし、その場合であっても誰がどの役割を果たすかを明示させておく必要があります。

評価指標と達成基準の設定

いつまでに何が達成できたら分析は成功・失敗なのか、明確な評価指標と達成基準を設定する必要があります。
これはよく「実際データ解析をしてみないことには評価指標と達成基準をどう設けていいかわからないから」 と言って後回しにされることがあります。
ですからこれらを設定しないと、 分析を実行してそれなりの結果が出たにもかかわらず、 それが果たして実利に結びついたかどうかの判断がつかないままに無意味に分析を継続してしまったり、まだ分析を始めて日が浅いのに効果なしとして打ち切られてしまったりする場合があります
データ解析のプロセスを反復して行くものであると何度も申し上げていますが、反復するにあたり、ステップを繰り返すべきか先に行くべきか、はたまた前のステップまで戻すべきかの判断が必要になってきます。
これはその都度判断すれば良いと考えるかもしれませんが、データ解析を明確なゴールが見えるものではなく、外部からゴールを与えないといつまでも終わりません。
ゴールは見えないことでプロセスを反復するうちにどんどん軸がぶれていったり、徐々に事実ではなくデータ解析者の主観に沿うようにデータや結果を進めたりしがちになります。
これはよほどの経験と注意深さがないと避けられません。
軸をどこに置くかを決めておかなければ、軸を適正修正することもできません。
そのため、計画段階で決めておくこと肝要です。
また、 分析の評価指標が売上向上のような様々な要因を含むものである場合は、分析以外の面での失敗が分析そのものの失敗であるかのように捉えられてしまうため、適切な粒度の評価指標、つまり分析に直結指標が必要です。
データ解析の成功と売上の改善はイコールではありません。
データ解析で選択生成される施策は、あくまで最も成功率の高いものであって、100%の利益を上げることを保証するものではありません。
これを認識せず、売上が上がった下がっただけでデータ解析の成否を判定すると、たまたまうまくいった策に固執してしまうなど、 誤った判断をもたらします。
さらに、「顧客満足度を上げる」 といった曖昧な評価指標を用いると、分析によってもたらされる本質的な価値よりも、指標の作り方や測定の仕方によってデータ解析の正否が左右されてしまいます。
分析内容に応じた適切な評価指標と達成基準を設定しなければなりません。

成果物の設定

分析に取り掛かる前に、どのような成果物を求められるかを事前にすり合わせておくとそこが起こりにくくなります。
提案時に生じる齟齬としてよくあるのが

  1. 対象者のレベルに合っていない
  2. ニーズに合っていない

の2つです。

1.対象者のレベルに合っていない

どんな提案でも重要なことは、対象者のレベルに合わせることです。
せっかくの提案も、相手に伝わらなければ意味がありません。
必要以上に難しい言葉や専門用語を用いるのは避けましょう。
使わざるを得ない場合はその意味を相手のレベルに合わせて説明しましょう。
依頼者に理解していただけるよう説明するためには、対象とする業界や企業の言い回しや用語があるならばそれに合わせる、専門用語は必ず説明を入れるなどの下準備が必要です。
データ解析において数式を用いることはよくあるでしょうし、場合によっては高度な統計的手法を用いることもあるでしょう。しかし、その解析結果はそのまま見てて伝わる相手はごく一部です。
どう読み取り解釈すればよいかをの説明を必ず加えましょう。
データ解析の計画設定の際に、どのような成果物であれば依頼者にご納得いただけるのかをこの段階で決めておきましょう。

場合によっては依頼者に高度な統計の知識があり、詳細な解析結果の提出を求められるかもしれませんし、データ解析の未経験の依頼者である場合は、背後で高度な分析をしても、成果物に 載せるのは簡単な集計結果やグラフだけに留め 、わかりやすさ重視で施策提案した方が良いでしょう。

2.ニーズに合っていない

求められているのが詳細な検証結果の報告しないのか提案用のプレゼン資料なのか、あるいは仮説を裏付けるエビデンスなのかによって、作成すべき成果物は大きく変わります。
プレゼンであれば、スライドにあれこれもと情報を盛り込みすぎることは避けましょう。
どうしても付け加えざるを得ない詳細な内容は、別途レポートにするなどしましょう。

MoSCoW分析(モスクワ分析)

この段階で取り組みたい案が数多く出てくる場合もありますが、全ての案を実践するだけの リソースがないことがほとんどでしょう。
そこでMoSCoW(モスクワ分)析を行います。
MoSCoW分析は要件を「必須で行わなければならないMustな要件」 、「出来る限り行うべきShouldな要件」、「もし余力があって可能ならば行ってもよいCould要件」、「行わないWon’tな要件」 の4つの優先度をつけて分類・ 整理する手法です。
優先順序をつけずに出てきた案すべてを実践しようとするのは失敗のもとです。
優先順序を明確にすることによって、着手しやすいい案だけに取り掛かったり、成功時のインパクトの大きさに目が眩んで他のリソースを食い潰してしまったりすることなく、適切な進行の舵取りをすることができます。

関係者との調整

計画設計の段階では、データ解析者だけでなく、関係者にも協力していただかないといけません。
関係者にデータ解析のプロセスに協力していただく際に重要なのは、解析の意義を共有することです。

当然ですが、関係者は自らの業務があり、データ解析の補助を専業とするスタッフがいるケースは稀でしょう。
どのような目的で具体的にどのような助力をしていただくのか、それでどのような分析ができて、データ解析の結果がどのように売上向上や品質改善などの目的に寄与するのか、つまり助力の意義を協力者に伝えないと本当の助力は願えません。
理由を言うならば、全ての関係者に異議を正確に説明して回りたいところです。
そこまではお互いの時間を大きく取るために非常に難しいでしょう。

計画書作成

一人の解析士が様々な分析をすることもありますが、どの分析でも共通の計画書のフォーマットを作成することによって、データ解析者は思考をまとめたり説明したりしやすくなり、関係者が読む際も理解しやすくなります。
毎回違うフォーマットではどこに何が書かれているかわからず、隅から隅まで目を通さざるを得なくなります。
ドキュメントは読みやすいものであること関係者への分析計画の周知を容易にします。
ドキュメントに最低限記するよりも良いものは誰が、なぜ、何のアクションをどのように、どの手順で、どのようにするとどうなるかになります。

分析計画書に記載する具体的な項目の例は以下となります。

  • このデータ解析をやる理由・意義
  • 成果物(改善策など)
  • 各担当者(データ解析責任者、意思決定者・実施者、窓口、データ解析者)
  • 評価指標と達成基準の設定
  • 施策後の改善見込み・度合い
  • 想定される問題点:技術・リソース上の懸念点の洗い出し
  • 費用対効果
  • 先行事例の調査
  • データ解析に費やす期間の設定

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データ解析の実務プロセス入門

著者:あんちべ

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