【エンジニア・プログラマーでも知っておきたい】インストラクターとして必要な5つのスキル

この記事では、インストラクターにとって必要なスキルについて解説します。
※主にエンジニア・プログラマー向けに書いていますが、一般的に利用できるヒューマンスキルについて記載しています。では、はじめていきましょう!

人材を育成するインストラクターは、さまざまなスキルが必要となる仕事です。

主に以下のスキルが必要とされます。

  1. コミュニケーション
  2. コーチング
  3. ティーチング
  4. コンサルティング
  5. カウンセリング

たくさんありますが、もちろん最初から完璧にこなす必要はありません。

実際の業務を通して、少しずつ身につけていくといいでしょう。

これらのスキルを身につけていくことで、インストラクター自身もビジネスマンとして大きく成長できます。

それぞれ広い分野なので、特に重要視するべき原則を書いていますのでかいつまんで読んでいってください。

1.コミュニケーション

コミュニケーションは、一般企業でも現在最も重要視されているスキルです。

また、コーチング、ティーチング、カウンセリング、コンサルティングなどの他のスキルに必要な共通スキルでもあります。

コミュニケーションがうまくいかなければ、受講生からの信頼を得ることができず他のスキルを生かすこともできないでしょう。

信頼を得て、他のスキルを生かすための「コミュニケーションのコツ」を挙げます。

  • 相手の立場に立つ

ほとんどの方がその教わりたいコンテンツに対する初心者です。

そのため、どのような言葉を使えば相手に伝わりやすいかを考えながら話す必要があります。

1)カタカナ語や専門用語はできるだけ使わないようにしましょう。

 IT業界も未経験の方が多いため、エンジニアとして普段使っている用語も通じません。

 自分が初心者だったころを思い出してコミュニケーションできれば理想です。

 難しい場合は、初心者はどういったことを考えそうかどこがわからなそうかというシミュレーションをしながら、分かったかどうか知るという意味も含め、重要な箇所を質問し、自ら説明してもらうといいでしょう。

  • 期待を裏切らない

受講された受講生は、何かしら結果を求めて受講されます。

そして担当するインストラクターにも、どうやって教えてくれるのだろうか、どうやって結果に導いてくれるのだろうか、と期待をしています。

まず、受講生が何を期待するのか、最初の段階で雑談を交えて聞いておくと、あとあとコミュニケーションが取りやすくなります。

受講された経緯、目的などをきちんと把握しておくといいでしょう。

受講生は期待していないものには意識がいかず、インストラクターとの誤解が生じる可能性があります。

受講生の期待に応えられているかどうかこまめに確認し、納得してもらいながら進めましょう。

たとえ期待に応えられておらず不満が出た場合でも、改善していけば問題ありません。

一番ダメなのは、期待に応えられないことではなく、期待に応えられていないことを知らずにいることです。

  • 相手の期待の範囲を知る

インストラクターに期待しているといっても、期待値には個人差があります。

これぐらいやってくれれば十分満足だと感じる人もいれば、これぐらいはやってもらって当然だと思っている人もいます。

まずは、受講生の要求がどの程度なのかを知ることが重要です。

「こういう部分まで知りたい」「できればこの技術は習得したい」など、受講生が期待する範囲を把握しておくと、スムーズに計画を立ててレッスン

を進めることができます。

この期待する範囲を知らずにレッスンをすすめていっても、期待の範囲外であれば反発されることになります。

期待の範囲内を抑えておいて、プラスで工夫やサポートをしてあげると満足度を飛躍的にあげることができるでしょう。

  • 経験の共有

相手と自分との間に共通する話題(経歴、趣味、性格など)を持っておくとコミュニケーションしやすいでしょう。

生い立ちや考え方、ものの見方などは1人1人違うため、似ている経歴や趣味などの同じ経験があれば、そこから意味の解釈や価値観を共有することができます。

同じ経験をしていれば、同じ考え方や、似た視点を持っていることが多いので、指導も行いやすくなります。

違う価値観ですと、お互い新しい学びや気づきとなります。

2.コーチング

続いてコーチングです。

プログラミングは自分でコードを打ち、試行錯誤を行わないと習得できません。

そのため、「プログラミング習得」という目標を達成するためには、自発的な行動を促すコーチングスキルが欠かせないものとなります。

一般企業でも指示待ち社員を減らすためにコーチングを実施することが増えてきています。

自発性の高い人材を育てることは、一般企業にとって優秀な人材を育てることにつながります。

モチベーションを高める5つのコツ

この原則は、コーチング自体が自発性を促すものなので当然のことだと思われるかもしれません。

しかし、目的によってコーチングによる成果・手に入れられるものは変わります。

リーダシップ、チームビルディング、モチベーション、スキルアップなど目的はさまざまです。

インストラクターとして達成したい一番の目的は「モチベーション」です。

プログラミング学習は長い期間続けることが必要です。

その間ずっとモチベーションを高めて続けることは不可能と言っても過言ではないでしょう。

「思ったより難しい」「イメージと違う」「つまらなくなってきた」など、学習意欲が下がる要因はいくらでもあります。

そして、初心者は些細なことでもつまづいてしまうため、学習意欲はより下がりやすいといえるでしょう。

そこで、うまく受講生のモチベーションを高める5つのコツをご紹介します。

  1. 長所を認めて伸ばす

    意志が固い、数字に強い、論理的思考ができるなど目に見える長所は言葉に出して褒めましょう。

    また、「面倒くさがり」「飽き性」など、通常であれば短所と思われる場合でも、エンジニアとしては長所となる場合もあります。

    受講生はエンジニア経験が少ないはずなので、エンジニアの常識や自分が向いているのかどうかすら分かりません。

    エンジニアの特徴や、エンジニアとして活きる部分を教えて伸ばしてあげると、受講生の学習意欲をあげることができるでしょう。

  2. できるだけ任せる

    任せることは、自発性、やる気、責任感、創意工夫を引き出すなどメリットがたくさんあります。

    しかし、実際の業務では仕事を任せやすいですが、指導する立場ではどのようなことを任せたらいいのかわからないかもしれません。

    インストラクターとしては、主にオリジナルアプリ開発で任せられる部分が多々あります。

    「やり方はこれとこれがありますが、どちらを選んで実装するかはお任せします」

    「どのような仕様にするかは最初お任せします。できたらレビューさせていただきますのでまずは自由につくってみてください」

    などといった具合です。

    また、「先にこちらを学習したいか、それともこっちを学習したいか」といった選択肢を与えて、最終的な判断は受講生に行っていただくのも一つの手でしょう。

    そうすることで、自分で選んだ以上、納得して学習を進めていただけやすくなります。

  3. 問題の無いときこそコミュニケーションをとる

    順調にすすんでいると思われる時こそ、実は注意が必要です。

    ある程度、信頼関係ができあがると些細なことは気にしないで進めてしまいがちです。

    受講生側も小さな不満であっても、関係が崩れることを恐れて言わないこともあるでしょう。

    このような状態はサービスとして良くありません。

    より満足度の高いサービスを提供するためには、何もない時こそコミュニケーションをとって、些細な不満やニーズを引き出す必要があります。

    何もなくても、2~3日に1回は必ず

    「進捗はどうですか?」

    「困っていること(悩んでいること)はないですか?」

    など、声をかけてあげるようにしましょう。

  4. フィードバックを大切にする

    プログラミング学習は、優秀な教材があれば独学でもすすめることができます。

    では、インストラクターに求められるのは何かというとフィードバックです。

    どうしても自分で解決できない部分や、理解できない部分は多々でてきます。

    「つまづいている時間を省いて学習時間を短縮させること」がお金を払って受講される本質的な理由です。

    フィードバックをしっかりしないと、「やると決めたけど結局やってない」「やろうとしたけど分からなかった」など、実際の行動まで結びつきません。

    行動しないと結果には結びつかないので、行動を起こすまでの継続的なフィードバックは不可欠となります。

    やはり「うまくいきましたか?」「順調にすすんでますか?」などこまめに声をかけ、つまづいていないか気にかけてあげることが重要です。

  5. 受講生への質問力

    ここでいう質問力は、「受講生の不満を引き出す」「受講生を知る」ための質問についてです。

    受講生とうまくコミュニケーションをとるためにも、質問の仕方は重要です。

    その都度、適切な質問をすることは非常に難しいですが、質問には大きく分けて2種類あります。

    クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンです。

    それぞれの質問の役割は以下のような感じです。

        • 適切なクローズド・クエスチョン
          • 会話の切り出し
          • 理解の確認
          • TODO、タスクの整理
          • 命令
          • 誘導
          • 理由の導入
        • 適切なオープン・クエスチョン
          • 相手の考えを聞く質問
          • 感覚・感情を聞く質問
          • 情報を得るような質問(論点、条件、要点など)

    質問に関しては、こちらの記事が参考になります。

    参考記事:http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20090617/160960/


    実際の講義では、講義の進捗の内容に関する理解度を都度確認し、なぜわからなかったのか、なぜ理解できなかったのかという部分をオープンクエスチョンで質問して受講生がどういう考え方をするのか、どういう人なのか情報を得るといいでしょう。

3.ティーチング

次はティーチングについてです。

ティーチングとは、基礎知識や技術を教えることです。

ティーチングでは、エンジニアとして得た知識や経験をフルに活かせるでしょう。

しかし時間は限られているため、細かい部分まで教えすぎてしまうと、スケジュールを圧迫し学習の弊害になりかねません。

ITの難しい専門用語や技術を教えるため、どうしても一方的にティーチングを行いがちです。

自発性を育成するためにも必要最低限のティーチングで最大の効果が得られるようにする必要があるでしょう。

そのため、具体的にどのようなことを中心に教えたらいいのかという原則を設けています。

  • 共通知識の習得

ティーチングでは、広く通用する汎用的な内容を教えることに集中します。

具体的には

      • IT基礎知識
      • 開発手法
      • エラー、バグの解決方法
      • 検索方法
      • ライブラリの使い方
      • フレームワークの使い方

などです。

最低限の知識がつけば、あとは実践で身につけていく方が早いですし、検索力がつけば自分でスキルアップの学習をしていくことも可能になるでしょう。

広く長くIT業界で通用する共通の知識を教えた方が受講生の将来のために役立つと考えます。

受講生が深く知りたがっている場合は、もちろん教えた方がいいです。

しかし、まずスケジュール通りをこなして余裕がある時に教えるようにしないと、本来の目的から外れてしまう可能性があるので注意しましょう。

  • ティーチングのコツ

ティーチングのコツは

「なぜ(Why)」「なにを(What)」「どのように(How)」を具体的に教えること

です。

これら

  • Why(なぜそれをやるのか、何のためにやるのか)
  • What(何をやるのか)
  • How(具体的に、どのようにやるのか)

の3点を具体的に教えることで、体系的に理解することができます。

相手がちゃんと理解できているか、フィードバックをもらうようにして、相手の理解度を確認しながら進めるといいでしょう。

ただ、自発性を育むコーチングとうまく使い分ける必要があります。

ティーチングは最小限に抑えて、ヒントやポイントだけ教えてあげると効果的です。

4.コンサルティング

コンサルティングは、受講生が自分自身に合ったキャリアを選択し、それを達成するための学習サポートをしてあげることです。

多くの受講生は、そもそもどのようなキャリアがあるかわからない、どういう目的を持てばいいのかもよくわからない状態です。

働いたこともなく、経験もない方もいるかもしれないので、これは仕方のないことです。

うまくコンサルティングするためには、目的を達成するための効果的な学習法や課題の解決策を提案していくことが必要です。

  • 納得感のあるヒアリング

ほとんどの人は、「やりたいけど、うまくいっていない」状態です。

ですので、いきなり「これをやった方がいいよ」「こっちの方がメリットあるよ」といわれてもなかなか響きません。

人は他人に言われたことはあまりやりたくないものです。

では何がやりたいことかというと受講生が自分で決めたことです。

それをまず引き出して、自分がやりたいと思う方向に導いてあげる必要があります。

そのために有効なヒアリングのコツが5点あります。

  • 得意なこと(承認欲求を満足させるため自慢してもらう)

まずは、得意なことを聞いて自慢してもらうといいでしょう。

自分の得意なことを引き出して「すごい!」と認めてくれる人には、信頼感を持ちやすい傾向があります。

人は警戒するので、警戒しているうちは本心を出してくれません。

信頼を得ることで、警戒を解き、ヒアリングしやすい状態を作ります。

  • なぜあなたを講師に選んだのか

「講師にフリーランスとしての実績があるから、自分もしっかりした技術が身につきそう」「私もフリーランスになって自由に働いてみたい」など、その人が持っているニーズを把握しやすいからです。

  • 今やっていること

やりたいことにたいして、現時点までに何かしら努力もしていないということは少数派でしょう。

「学習してたけど挫折した」「働くイメージができない」など、問題をかかえて受講されます。

今やっていること、やってきたことは、その人の考え方や思想を知ることができます。

  • 興味があること

興味があることも、何かしらの理由や問題があってやっていないことが大半です。

興味があることをヒアリングすることは、今やっていること合わせてキャリアを選択する際の重要な情報となります。

漠然としていてあまりイメージが湧いていないことも多いので、少しだけ興味があることでも聞いておくといいでしょう。

  • 難しいと感じるところ

今やっていること、興味があることをヒアリングして「どこが難しいと感じるのか?」を聞いてあげると解決すべき問題が見えてきます。

考え方や思想がずれている場合もありますし、遠回りの努力をしていることもあるでしょう。

プログラミングに関しては、難しいと感じる部分が多すぎて、何が難しいのかすら分からないこともあります。

思い当たる部分を1つずつヒアリングして、その人が感じる大きな問題を把握することが必要です。

最短で問題を解決するためには、欠かせないヒアリングです。

5.カウンセリング

最後はカウンセリングについてです。

カウンセリングでは、主に受講生の不安を取り去ったり孤独感を癒すことです。

なぜならプログラミング学習で挫折する最大の原因は孤独だからです。

孤独や不安をなくすためにカウンセリングの原則は「共感的理解」と定義しています。

  • 共感的理解

共感的理解とは、相手が感じたままを、自分の解釈を入れず、評価せず受け止めるという行為のことをいいます。

受講生は、不安でいっぱいです。

本当に自分にプログラミングができるのだろうか…など不安はつきません。

現場を知っているインストラクターとしては、「そこまで不安になる必要はない」「不安になるのは努力がたりないからだ」「やればできる!」と言いたくなるかもしれません。

しかし、こう答えてしまうと「わかってもらえていない」という感覚になり、気持ちが前に向きません。

「共感的理解」は本人の気持ちをおさめ、自ら建設的に行動する方向へと向かわせるための重要なステップです。

この原則を知らないと、ついつい説教口調で答えがちになってしまいますので注意しましょう。

共感的理解をするためのコツは3つあります。

      • 感情の共有
      • 相手を知ろうとする姿勢
      • 同情や同感ではないことを理解する

の3つです。

  • 感情の共有

お互いの感情を共有することで、人は認められたり、肯定されたりすることで、心を安定させる傾向があります。

共有ができない、ましてや否定されるとその人はさらに不安になり心が不安定になので、まずは相手が今どういう感情でいるのかを受け止めるようにしましょう。

  • 相手を知ろうとする姿勢

感情を共有しても、その人が本当にそう思っていなければ、嘘だとバレます。

100%相手のことを理解するのは不可能に近いですが、知ろうとする姿勢がないと、受講生は孤独を感じてしまいます。

カウンセリングは心や感情に関することなので、論理では片付けられないケースも多々あります。

感情的な発言をされる場合は、まずどういう心理状況なのかを知って心を整理してあげようとすることが大切です。

  • 同情や同感ではないことを理解する

同情や同感は、当事者と「同じ状況」にいない人が感じることに近い感情です。

同情は、世間一般では、不幸なことにたいして使うことが多いので、 「同情」はよくない、相手にとって失礼になってしまう場合もあります。

同感は相手の感情に対して賛成をすること、自分も同じように感じることです。

相手の感情に流されているイメージなので、受講生が間違った感情を持っていた場合にインストラクターが同感をもつとそれを正しい方向にもっていくことができません。

共感するべきで、同情や同感ではないことを理解することが必要です。

  • 問題解決へ向けて

共感的理解をすることで、その人の根本にある問題が見えてきます。

「昔から何をやってもダメで…」「自分にはやっぱり無理だと諦めようかと…」などという言葉が出てくることがあります。

受講者は

  • 「忍耐を学ぶため」
  • 「自分を変えるため」
  • 「より強くなるため」
  • 「自分を信じるため」

など、人間的な成長も求めてプログラミングを学びにきているケースがほとんどです。

問題解決の妨げになるのは、「自分に自信がない」「自分は何事も長続きしない」などといったトラウマです。

それは、潜在的に最も大きなプログラミング学習の壁になっているかもしれません。問題を解決していくためには、自分を客観視する訓練をしてくといいでしょう。

まずは、問題とは自分が乗り越えられるものしかやってこない、と思うようにしてもらいます。

自分でできることならば、それは悩みにも問題にもならないことです。

問題は「今の自分」では乗り越えることができなくて普通なのです。

何か新しい方法や見方を学ぶ必要があるということを知ってもらいましょう。

「なぜこの問題が自分に必要なのか」という新しい視点をもって、その問題の目的や意味を探っていきます。このように自分を客観視して分析していくことで、根っことなっている原因が見えてきます。

その原因の解決に取り組んで行く、チャレンジする姿勢が大切であることを指導します。

自分の人生なので、自分で選択することができるはずです。

一度に解決は難しいですが、自分を変えたいという意識があればすでに変化を始めています。

チャレンジを途中でやめず続けれるように、日々サポートをしてあげましょう。