劇的な生産性をあげる仕組みとは? | 世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法 | 要約 | 2

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世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

著者:ピョートル・フェリクス・グジバチ
プロノイアグループ モティファイ株式会社 代表取締役・ピョートル・フェリクス・グジバチ ポーランド出身。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を務め、2006年よりモルガン・スタンレーにて、ラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデントを務める。2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、2014年からはグローバルでのラーニング・ストラテジーに携わる。現在は独立し、プロノイアとモティファイの2社を経営。著書に『0秒リーダーシップ』(すばる舎)、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(SBクリエイティブ)
参考:BizPow

劇的な生産性をあげる仕組み

いくら成功モデルである「グーグルのような人事制度を導入したい」と考えたとしても、他社の「仕組み」をそのまま自分の会社で使ってうまくいくはずがありません。

人事制度など会社組織を機能させる仕組みというのは、その会社のミッションやビジョン、ビジネスモデルから逆算して構築していくものなのです。

たとえば、喫茶店の経営を考えてみましょうか。
まず「その喫茶店がどんな価値を世界にもたらして売り上げを立てていくのか」という大きな枠組みを考えますね。
それがないと何も始まりません。そして「笑顔で話せる場をつくろう」と決めたとします。

そこから、お店をどんなデザインにするのか、どんな音楽を流すのか、スタッフにどんな制服を着せるのか、スタッフがどんなしぐさや話し方でお客さんに接したらいいのか、といったことを考えます。
会社の人事制度も同じです。

どういう人を採用するのか、人材をどう育成するのか、成果をどう評価していくのか、そのためにどんなツールを使うのか。
そういったことは、社員同士がどんなふうに接しているのか、その会社がどんな価値を生み出しているかによって、最適なものが変わってくるわけです。

ルールブックをつくるまえに

「自動化・パターン化」でチームの心理的安全性を高めるグーグルは自動化・パターン化が大好きです。
テクノロジーによるタスクの自動化はもちろんですが、社員の行動にかかわる事柄がとてもよくパターン化されています。

四半期ごとのOKR、マネジャーとのワン・オン・ワンなども、だれにでもわかる簡単な仕組みになっていて、いわば「自動化・パターン化」されているわけです。

たとえば、OKRのアップデートは完全にシステム化されていて、チームで「グーグル・ドキュメント」で共有して、メンバーがいつでもアクセスできる仕組みになっていたそうです。

「私はこういうふうに仕事をしています」

「あの仕事はこういうふうに進んでいます」

ということをメンバーみんなが共有しているなら、

「あいつサボっているんじゃないか?」

といったメンバー同士の疑心暗鬼は起こりにくくなります。
その意味では、自動化・パターン化もチームの心理的安全性を高めることにつながるというわけです。

チームの仕組みづくりを考えるうえでの前提

  1. 安全な「場づくり」
  2. チームのゴール設定
  3. パフォーマンスの評価
  4. 人材の育成
  5. チームの代表として動くこと

①は、メンバーの心理的安全性を守ること
もっとも大事なチームづくりの土台ですね。

②は、会社のミッションやビジョンの「落とし込み」です
マネジャーが中心になってメンバーと一緒に決めなければいけません。

③で誤解してほしくないのは、ここで言う評価は「メンバーに点数をつける」といった意味ではないということ。マネジャーによるメンバーの評価は本人に定期的にフィードバックされないと意味がありません。
本人が設定したゴール=OKRに向かっているかどうかを伝えて、アウトプットを引き出すためのものです。

④については、コーチングの重要性について繰り返しお話ししてきました。
⑤は、チームの評価が自分の評価であるということですね。

このマネジャーの5つの役割を踏まえて、どんな仕組みがチームに必要なのかを考えないと意味がありません。

つまり、お客さんに出す前に問題点がわかることが重要であって、失敗は心理的安全性を脅かすものではなく、よいアウトプットを生み出すためには不可欠だという考え方が徹底しているわけです。

まずは、ちゃんとしたものでなくていい。

とにかくやってみる
低コストということで言うと、グーグルには「ビィ・スクラピー(Bescrappy)」という、いわば合言葉がありました。

ビィ・スクラピー(Bescrappy)とは?

スクラピーというのはスクラップ=くず、残り物のこと。
ちゃんとしたものでなくていい、一番安いものを使ったり既存の断片を集めたりしてとにかくやってみるという考え方です。

コストパフォーマンスを高めて、素早い動きを繰り返すための合言葉ですね。
グーグルのエンジニアチームの早めに失敗する仕組みは、「ビィ・スクラピー」そのものと言えるでしょう。
とにかくやってみて、すぐに「振り返り」とにかくやってみる検証主義のチームをつくっていきましょう。

グーグルでは3カ月に1回くらい、スタッフみんなが集まって、「お客さんに約束した価値をちゃんと提供しているのかどうか」の確認から始まって、「役割分担は正しいのか」とか「学んだことは何か、どんな気づきがあったのか」とか「どういう仕組みができるのか」といったことをディスカッションを行い、「いまやっていることに意味があるのか。意味がないのなら、何をするのか」という振り返りを、一日かけて行っています。

「会社のビジネスモデル」の把握から始める。では、なぜ日本企業のチームマネジャーは「ゴール」を決定できないのか。

それは、自分たちが生み出そうとしている価値が何なのかわかっていないからでしょう。
だから、その価値に対して自発的に考えることも行動することもできない――。
つまり、業務の仕組み化の前に変えないといけない「マインドセット」の問題があるわけです。

「OKR」で各メンバーの自発的なゴールを設定するビジネスチームのメンバーは、より大きな成果を出すためにベストのパフォーマンスを提供するわけですが、そのための仕組みとして大事なのが各メンバーによる自発的なゴール設定である「OKR」です。

よいOKRの条件OKRを設定する際のポイントは、次の5つです。

  1. 大局的視点に立った戦略目標を、測定可能な具体的目標と組み合わせる
  2. 野望を掲げる……達成度70%程度がうまく練られたOKRで、達成度100%は質の低いOKRと判断される
  3. 全員実践する……社内の全員がOKRを実践し、面談で定期的に振り返る
  4. OKR≠評価……OKRのスコアを「直接の評価」にはしないことにより、社員が正直に自分のパフォーマンスを振り返るようになる(ただし、工夫次第で評価にも生かせる=次ページの❹参照)
  5. OKRは最大インパクトをもたらす目標に絞る……業務全体を網羅しようとせず、特別力を入れるべき分野に絞ってもよいまた、OKRは「SMART」でなくてはなりません。

また、SMARTとは、目標設定時のポイントとして知られているフレームワークで、次のような意味です。

  • S(Specific、具体的)……何に取り組むのかが、だれにでもわかる
  • M(Measurable、測定可能)……数値化でき、計測できる
  • A(Attainable、達成可能)……頑張れば達成可能な目標を設定する(簡単すぎても、難しすぎてもいけない)
  • R(Relevant、関連性)……組織やチームの目標に関連している
  • T(Timebound、期限)……期限を設けて、期限までに達成する加えて、OKRを運用する

❶四半期の初めに経営陣が会社のOKRを設定し、社員が自分のOKRと一致させる
OKRはいつでもだれのものでも見られるよう開示する
定期的なワン・オン・ワンで振り返ることで、習慣づける
目的に応じて、評価制度との組み合わせを工夫する(たとえば、成果重視なら達成スコアを評価に反映する、姿勢重視なら取り組む姿勢を数値化し評価にプラスするなど)
組織全体で支援し、他メンバーのOKRにもコミットする文化を醸成する
基本的にOKRは、トップダウンで決められている「KPI」(重要業績評価指標、たとえば営業だったら売上目標の金額や顧客訪問の回数など)を考慮しながらも、四半期ごとにボトムアップで設定していくものです。
なおかつOKRは、見直しや調整が前提です。

著者はグーグル時代、週1回のワン・オン・ワンでメンバーと「このOKRはどう?」などと話して、そのOKRに意味がないと気づいた時点ですぐに捨ててもらうようにしていたそうです。
OKRは経営トップが設定している大きいミッションと密接につながっています。
いくらボトムアップとはいえ、その枠組みは外せません。

「うちはこういう会社だよ。それにあなたはどんな貢献をしていくの?」という経営トップの問いに対する従業員の答えがOKRなのです。

当然ながら、その答え=OKRは個人レベルにとどまらず、チームレベル、部署レベルでも決めていく必要があるわけです。

つまり、いまメンバーがやっている仕事は会社のミッションやビジョン、ビジネスモデルとどういうふうにつながっているか、それを達成するために本当に意味があるのかということを、常に確認するのがマネジャーの大事な役割なのです

生産性を高める「OKR」設定のコツ

OKRは、いまやっている仕事のプロセスを守るためにあるわけではありません。
つまり、OKRは、会社の利益のために何を達成するかという大きなゴールから逆算して考えるべきだということ――。
プロセスやタスクをゴールに設定していては、生産性の飛躍的な向上は望めませんね。

グーグルには、「いまの10倍の成果が出るように考えよう」という「10X」と呼ばれるカルチャーがあるので、プロセスやタスクの効率をほんの少し向上させるようなOKRを掲げる社員はいません。

たとえば営業チームでも、四半期の売上目標だけではなくて、新規顧客の獲得とか営業部内の人事プロジェクトといったプラスアルファもOKRに入れ込みます。

つまり、「新しい価値をつくらなきゃならない」と考えることが営業チームにとっての10Xなのです。
単に「売り上げをOKRにしたらいいんじゃん」と考えている営業チームには、生産性を高めることは、やはり不可能ではないでしょうか。

「だれが何を達成したか」をみんなでシェアするワン・オン・ワンを通じて、マネジャーはメンバーそれぞれの仕事の進捗状況(ゴールと達成までのプロセス)を把握するわけですが、生産性を高めるためには、それをチームでしっかり共有することが大事です。

つまり、Aさんがあれをやった、Bさんがこれをやったということをメンバー全員でシェアする仕組み、からくりが必要なのです

何を達成したかをみんなでシェアするためのツール

グーグルには、だれが何を達成したかをみんなでシェアするためのツール「スニペッツ(Snippets)」などがありました
毎週金曜までに個人個人がその週に達成したことや来週することのスニペット(Snippet、情報・ニュースなどの抜粋)を所属チームのマネジャーのドキュメント・フォルダに入れます。
マネジャーはそれにチームとしてのスニペットをつけて、上司のドキュメント・フォルダに入れます。
上司はさらに上のレベルへ。

最終的にトップの秘書が編集して、世界中の全社員に「スニペッツ」としてシェアするという仕組みです。

スニペッツは、Google社員はみんな本当によく読んでいたそうです。
チームや自分の仕事ぶりをグローバルにアピールできるのですから、社員のモチベーションを高める効果もあるわけです。

建設的な競争を促すスニペッツには、建設的な競争を促す効果もあります。
他のチームがどんな仕事をしているのかということは、やはり気になるものなのです。
「そうか、アジア・パシフィックのあのチームはこんなかっこいいことをやっているのか。
うちのチームはこんなことしかやっていない。

来週は、みんなでもっと頑張ろうよ」そんなチームとしての前向きな競争意識が自然に芽生えるわけです。
だから、「さっきスニペッツで見たんだけど、面白そうなプロジェクトをやり始めたね。
20%ルールを使って協力したいから、詳しく教えてくれない?」といったやり取りが、いつもグローバルに行われています。

スニペッツのおかげで、かっこいいチームの周りにフォロワー(追随者)が自然に増えていくわけです。
グーグルでは「チーム単位」で評価されるチーム単位で評価されるというのは、プロジェクト・オキシジェン以来、グーグルの「文化」になっていると言えるでしょう

だからスニペッツのような仕組みもあるし、チームの中で仕事をサボって怠けているようなメンバーは、他のメンバーからすぐフィードバックされて、マネジャーにも報告されます。
グーグルというと、まったくの個人主義で放任主義というイメージがあるかもしれませんが、じつはかなり集団主義的なのです。

そしていい意味で、グーグルの社員は自分の人生を会社の中に持ち込んでいます。
だから心理的安全性をベースにしたフランクな対話を求めるし、達成感を得ている仕事内容をシェアするし、ほかの人とのコラボレーションを欲するわけです。

同僚に御礼ができる「ピアボーナス」

グーグルで印象的だった仕組みの一つに「ピアボーナス」があります。
これは同僚(Peer)にボーナスをあげられるという制度で、社員一人ひとりに約1万5000円の決裁権が与えられていて、この人にあげたいというときには、いつでもシステムに相手の名前とその理由を入力できるというもの。

一応、マネジャーが承認しないといけないのですが、3日間で自動承認されてボーナスが支払われるという仕組みになっていたそうです。
たとえば、プロジェクトで困ったときに、わざわざ一日つぶして手伝ってくれた同僚にピアボーナスをあげる。

その人のおかげでお客さんがすごく喜んだ、リスクを減らせたということであれば、1万5000円払う価値は十分にあるでしょうね。
ちなみに、メルカリでもピアボーナスの仕組みを取り入れているそうです。

ペア制度

個人評価をなくし、プロジェクトを評価するチーム単位での行動を直接的に促す仕組みとしては、「ペア制度」があり、これもおすすめです。

フラットな組織管理体制の構築を目指す「ホラクラシー(Holacracy)」の考え方の一つで、プロジェクトには必ず2人(ペア)で責任を持つようにして、個人評価をなくします。

評価は、個人単位ではなく、プロジェクト単位で行うのです。
当然、この場合のOKRは、2人で納得できるものを考えなくてはならず、同じ目標を追いかけることになります。

困ったときにはお互いに相談しやすいですし、サボったりすることができないため、アイデアの質も高くなりました。

「報・連・相」はやりすぎぐらいでちょうどいい

Googleではオーバーコミュニケーションが大切にされている
アンダーコミュニケーションというのは「報(報告)・連(連絡)・相(相談)」が足りない状態、オーバーコミュニケーションというのは「報・連・相」をやり過ぎている状態のことです。
グーグルのマネジャーには、毎日たくさんのメールが入ってきます。
そのため、その情報が自分に必要かどうかを自分で判断して自発的に動くということが求められているわけです。

グーグルではみんな自分がどれくらい仕事しているのかどんどん報告します。
そのために、報告しない人はその存在が忘れられてしまいかねません。
だから、みんなどんどん報告するわけです。

当然ながらチームのマネジャーにもオーバーコミュニケーションが求められます。
「うちのチームは今週、これやりました」とか「今日あったすごくいい事例です」とか「Aさんは頑張ってくれました」といった報告を、みんなにいちいちシェアしておかないと、「あいつら、何もしていない」と思われてしまいかねないのです。

グーグルでは、それができないマネジャーはまったく評価されません。
なぜそのような文化が根付いたかと言えば、個人やチームのブランディングにかかわるからでしょう。
シェアされていれば、20%ルールを使って「かっこいいね、自分も手伝いたい」という人がどんどん集まってきて、より大きなインパクトのアウトプットを生み出す可能性が出てきます。

その中心に自分や自分のチームがいるということは、当然ながらブランディングに直結します。
だから、みんな頑張って自分やチームの仕事ぶりをアピールするわけです。
ただマネジャーの役割は、自分自身がアウトプットを出すことではなくて、あくまでもメンバーのアウトプットを最大限に引き出すために「判断する」ことです。

なのでチームのメンバーには「手ぶらで〈どうしたらいいですか?〉と聞かないでください」とお願いし、「これか、これか、これか、どれがいいか教えてください」とか「こうつくったので見てください。」「ポイントはこれです」といった、たたき台がないと、マネジャーとしては判断できないし、メンバーやチームのブランディングに役立つようなアピールができない仕組みづくりが重要となっているのです。

参考資料:
世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

著者:ピョートル・フェリクス・グジバチ
プロノイアグループ モティファイ株式会社 代表取締役・ピョートル・フェリクス・グジバチ ポーランド出身。ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を務め、2006年よりモルガン・スタンレーにて、ラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデントを務める。2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、2014年からはグローバルでのラーニング・ストラテジーに携わる。現在は独立し、プロノイアとモティファイの2社を経営。著書に『0秒リーダーシップ』(すばる舎)、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(SBクリエイティブ)
参考:BizPow